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忘れ得ぬ本

子供の頃、テレビや漫画はあまり見せてもらえなかった。
しかし幸か不幸か家の裏に図書館があり、読書だけはし放題。
図書館中の本を読みつくすような勢いで通っていた。

そんな中で長い間忘れられなかった本。
それが光車よ、まわれ!だ。
分類としては、異界ファンタジーになるのだと思う。
舞台は昭和の日本の街。主人公は小学生。
発行が73年なので、今読むとさすがに古臭いが、小学生のときにはほぼリアルタイムで読んだはずだ。
従って、普通の小学生が普通の街で突然異界の化け物に襲われて、知恵を絞って戦うという物語は非常に恐ろしくて面白く、強烈な印象が残っていた。
ただ、一度読んだきり、この本には長い間巡り合えなかった。
図書館では、タイミングが悪かったらしく、二度と借りられなかったし、大人になってから書店で探したときも見つけられなかった。もっとも、タイトルしか覚えておらず、作者名も出版社もわからなかったので、探しようがなかったのだが。実際には、筑摩書房から73年初版、83年に新装版が出て、87年には文庫にも入っているというから、かなり息の長い本だったようだ。けれどインターネットが普及し、ようやくこれらの情報を得たときにはすでに品切れになっており、入手することができなかった。

そこで、復刊ドットコムでリクエストしようと検索すると、その時点で確か200近い投票があり、驚いてしまった。そして、約3年経った昨年、ついに復刊された。復刊決定のメールを受け取ったときは、本当に小躍りするくらい嬉しかった。

ただ、それほどの期待をしていただけに、単なる思い込みで、そんなに面白くなかったらどうしようという、不安もあったのだが……。
全く杞憂でした。作者の天沢退二郎氏は、これが初めての長編ということで、確かに随所に粗さはある。
登場人物の呼び名と本名との関連がわかりにくかったり、伏線が張りっぱなしで放置されていたり…。
でも、そんな些細なことはほとんど気にならないくらい、物語に勢いがあるし面白い。ほとんど小学生である登場人物それぞれが魅力的だし、何よりこの話のキーとなる「光車」の設定が凝っている。

元々は小学生向けだとは思うが、大人が読んでも十分楽しめるはずだ。

ところで、天沢氏の他の児童向けの著作も復刊されており、どれも面白そうなのだが……。
この光車よ、まわれ!もそうだが、できれば文庫で復刊してほしかったなあ。価格はまあ仕方ないとして、ハードカバーは狭いマンションではかさばってしょうがない。
というわけで、読みたいんだけどと思いつつ、他にはまだ手を出していない。

天沢 退二郎: 光車よ、まわれ!
天沢 退二郎: 光車よ、まわれ!

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Comments

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Posted by: camsexchat | June 03, 2015 at 12:41 PM

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光車よ、まわれ!ブッキングこのアイテムの詳細を見る   一時は絶版になっていて衝撃を受けましたが、復刊され本当によかった。(TT) ファンタジーの名作です。 雨... [Read More]

Tracked on March 12, 2005 at 03:35 PM

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