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ヤマト風味なガンダム

逆でもいいんだけど、ガンダム風味なヤマト。
仕事が忙しい最中、止められなくなってしまった終戦のローレライ

ところでこの小説どういう分類になるんだろう?
第二次世界大戦が舞台になっているとはいえ戦記ものとはちょっと違うし、SFとも言えそうだし、冒険小説でもあるし、青春小説の面もある。という、ともかくエンターテインメントです。

あ、吉川英治文学新人賞日本冒険小説協会大賞を受賞したらしい。

前述のように舞台は第二次大戦末期、そしてほとんどが潜水艦の中。
実を言うと、歴史上の出来事を舞台にする必然性はあまり感じられない。戦争を知らない世代である作者がこういった手法で描くことは、批判の的になる危険性があると思うのだ。実際のところは、この作品の評はほとんど見てないので知らないのだけど。
でもそれよりも、制約が多くなっているので、話がどうしても自由に広がっていかない。
広がればいいというものではないかもしれないけど、この物語に関しては、何となく無理にまとめてる感があって(特に最後)、残念だなあと思う。

とはいえ、文庫の解説によれば「第二次大戦と潜水艦と女」を出す映画化前提の作品として書き始められたということなので、逆に言えば第二次大戦をうまく利用したとも言えるのだが。

戦争に関しては、やはり解説によれば作者は「東京大空襲等の惨状を生の声で聞いた最後の世代として、次世代の若者への橋渡し」ということを語っているらしい。生の声といっても、68年生まれの作者なら、両親がギリギリ体験しているかどうかといった程度だとは思うが。
それよりも、冒頭に書いたように、戦争体験者が作ったアニメの影響を感じる。
それは、例えばローレライがララァだったり、核発射まであと×時間、とかいう表面的な話ではなく、軍隊とか戦争とかの考え方ってことで。そして、それは作者と同世代である私には、当たり前にも感じられるのだけど。

ただ、この作品は例に挙げたアニメ作品に比べて、希望に満ちている。
作者の性格といってしまえばそれまでだけど、やはり世代もあるのではないか。戦争を真摯に捉えながら、悲壮感よりも人間の強さ、戦後への希望といったものが強く描かれている。

さて、この小説の真骨頂は、やはり「潜水艦アクション」ではないか。
文章だけで、潜水艦の動きを生き生きと伝えられる。作者の力量は大したものだと思う(←何様?>私)。
専門用語も多いのだが、意味がわからなくてもあまり気にならない。

もう一つの特徴は、文庫で全四巻ととても長い。これは大勢の登場人物それぞれについて、とても丁寧に描写しているのも一因。賛否両論あると思うけど、私は面白かった。あの時代あの立場で悲惨な背景がないわけがない土谷中佐について何も書いてない、と一瞬憤りそうになったけど、ちゃんとあったし。
ただそのために、視点がコロコロ変わるのは、ちょっと読みにくい。

それと。別にガンダムやヤマトを知らなくても楽しめます。念のため。

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